東京新聞と太陽光発電

東京新聞のコラムで「太陽光発電」について言及があったが、進取的と(一部では)思われている東京新聞でもこの程度の「ぬるま湯」的な主張しかできない。


<引用>
太陽光発電は地形や農作物の収穫に左右されず、最も日本向きだ。導入量では昨年ドイツに抜かれ世界第二位に下がったが、パネルの生産量では依然世界一である。
優れた技術がこれを支え、発電コストは年々下がっている。
    ・・・中略・・・
 風力、バイオ燃料の活用で他国に後れを取った分を太陽光発電の普及で補い、自然エネルギー全体の利用を増やしたい。
【私説・論説室から】太陽光発電の普及を 2007年6月6日
<引用終り>


我々のような個人の意見発表の場の貧弱さは、御覧のように卑小・とるにたらぬ悲惨なもので、新聞の一コラムをまかされる執筆者とは雲泥の差がある。
この執筆者に与えられた幸運は計り知れないものだ。しかるになぜこの程度の発想・主張しかできないのか。
自然エネルギー全体の利用を増やしたい」で終ってはいけないのだ。
これでは何も主張していないのと同じだ。

エネルギー問題を取上げれば「原子力発電の矛盾」に目をつぶって通り過ぎるわけには行かない。
もしこの「矛盾」について、何の予備知識もない人はせめてここを見て貰いたい。平明で中立な解説がされている。
http://www.nuketext.org/suishin.html
(新聞のコラムを書く程の人は、インターネットでググって絶えず知識を補強して貰いたいもの)


それにしても未だに画期的な提案がされず、「危険性」とか「廃棄物処理の問題点」とか、周辺をグルグル回るだけの意見しかないのはなぜだろう。
問題解決の糸口は、原発の必然性を失わせることしかないのだ。 ここから当然の結論が出る。
ここに誰も言及しないのは、政財界や核燃料提供の外国財閥のコントロールを受けているのだろうか。
とにかく誰も真剣に考えていないかのようである。この東京新聞もご他聞にもれないのだ。

当然の結論とはなにか。 それは誰でも考えつくことだ。

  • 各家庭の屋根に太陽発電設備をつけること。
  • 設置希望の家庭には、公費補助だ特別融資だとかケチなことを言わず、資格審査さえ通れば全額国庫負担。

全額などとんでもないとか、財源がないなどと言うなかれ。

原発一基作るのに3000億円かかるとする。しかし全廃棄物の処理費用、再処理費用、さらには4〜50年後の取壊し費用まで考慮すれば、更にさらに現在現実的な方法が確立していない高レベル廃棄物の処理まで考えれば、1兆円を軽く超えるカネが消える。


この消えてしまうカネを、別な方向に生かして使うと言う発想が誰の頭にも浮ばないというのはおかしい。
かりに3000億円だけ使っても、1軒200万円の設備を15万軒につけられる。
地方の市なら3つか4つの市のほとんど全世帯につけられる。
まず原発立地々区周辺から広げて行き(日頃のストレスの代替謝礼の意味で)、徐々に拡大する。

夜は役に立たない、雨の時はどうする、とか反論するヤツが必ず出てくる。
電力供給の季節サイクルとか24時間サイクルとかを調べて貰いたい。(上記URL他、各所にある)
問題はこれらのサイクルに対応することが、電力生産側の至上目的になっていることにある。

ピークで1億2000万キロワットとしても、これは日中の3〜4時間程。あとは1/2以下の需要である。
しかも空調需要のピークと太陽発電効率のピークの時間帯が一致している。 家庭単位にに見れば空調需要は太陽発電でほぼ補える。(1〜2キロワット)
この程度でも大幅に従来方式の発電量を減らすことが出来る。 発電量サイクルが大きく変る。 ピークに備えるためだと無知な国民を欺いて、原発作りに励んできたのは利権グループの作り出した詐術である。同額のカネを自然エネルギー開発に使っていれば、とっくに問題は解決していただろう。
要は各事業所・各家庭の屋根に、なるべく多くの発電設備を乗せる努力を地道に続けること。

設置率が5%を超えただけでも革命的な効果が得られるだろう。
これに風力などの自然エネルギー発電を加えれば、雪崩的に事態を変えてゆける。
ちなみに、風力発電は先進国中最低の開発努力しかしていない。 ドイツの風力発電能力はすでに1842万キロワット(2005年)、100万キロワット級原発18基分の発電能力を持っている。(日本は123万キロワット)

既得権益を守るグループが、他の国よりも仕事がしやすい土壌であることが最大の原因だろう。
談合・腹芸・なれ合い・ことなかれ・無関心・・・


費用の国庫負担が不合理、そもそも財源がない、と言う議論も必ず出る。
しかし環境や資源問題は、そんな悠長なことを言っていられる段階は過ぎている。
やらなければならない、と言うことを前提にすれば必ず方法はあるものだ。


現在電気料金はかなりいいかげんな方法で決められ、独占企業ゆえに経営努力もなく、先進国中最高価格である。 欧米の2倍である。
これらの電力会社が費用を応分負担する能力は十分ある。 人件費(給与:大抵の地方都市ではダントツ)を一般企業並みにしただけでも、1000〜2000億円は浮く。
そのほかに、優秀だといわれている日本の官僚が本気で対応すれば、年間数千億円程度は楽に捻出できるはずだ。
原発利権グループを封じ込めることができればの話だが。

根深い談合体質に最近風穴が開きかかっているが、これと同じように原発推進自然エネルギー開発妨害グループの呪縛を打破る努力をしなければならない。
それには表だって東京新聞や一部週刊誌ががんばって啓発キャンペーンを張ってくれるしかない。 テレビや大新聞は腐れ切っているからダメだ。

そんなこんなで東京新聞の腰の引けた記事に失望したのだが、ここでいくら文句を言っても誰の目にもとまらんだろうね。

  • 風力発電・・・これをupしてから風力発電の問題点を説くブログ【サマータイム制導入に反対する】に行きあたり、納得してしまった。 風のエネルギーから発電するのだから、当然風の持つエネルギーはその分減殺され、気象・気候に対する風の影響力が減る。 極端に考えれば「無風状態」になったら気候はどう変るか。 悲劇的な結果になる。 人類(生物)は生きて行けない。 風力の利用はことほど左様に難しい問題らしい。簡単に利用、利用と叫ぶわけには行かないようだ。
  • やはりここは一極集中ではなく、潮力発電・地熱発電・深海温度差発電等々(これらも地球環境に影響がある)をほどほどに分散利用するしかない。
  • ここで太陽光発電のすごさが分る。 よほどのことがない限り、無制限に使えるのではないだろうか。 もちろんサハラ砂漠を全部パネルで覆う様なことをすれば、悪影響は出るだろうが。